現代西洋医学は、解剖学や生理学などの科学的な見方で人間の身体を捉えていて、人間の身体を細分化し、パーツごとに正常、異常を判断し、病は局所的な異常からなると考えます。
病の判断は科学的な根拠に基づいてなされるため、どんなに不調を訴えても、数値に表れないと異常、病とみなされない場合があります。
一方東洋医学では、人間の身体を臓腑や筋肉、骨など様々な部位が関連し合うひとつの有機体として捉えていて、身体の不調は、全身の関係性やバランスが色々な要因によって乱れた結果、各所に症状が表れると考えます。
また、仏教で言う「身心一如(しんしんいちにょ)」の通り、肉体と精神はひとつのものの両面であり、分けることができないので、心や身体の何らかの不調は、必ず体表のどこかに何らかの形で現れると考えます。
症状の表れ方は人それぞれで、環境や性別、年齢、季節、気候などによっても変わってきます。
どのような原因で不調、病が起こり、崩れたバランスの原因は何なのかの判断は、症状が現れている局所だけに限らず、東洋医学独自のモノサシで全身を診ることに基づいてなされます。
すなわち、脈やお腹、舌の状態、顔色、経絡・ツボの反応など、全身を丁寧に観察し、どんなバランスの崩れによる不調、病なのかを診断していくのです。
このように、東洋医学は、現代西洋医学とは診ているもの、考え方が異なります。
それゆえ、現代西洋医学では対処しきれない、病とみなさない不調や精神的な不調までも、東洋医学では対応することができるのです。
また、心と身体はひとつですから、体表に現れた反応を正すことで、身体のみならず、心も整うと考えています。
どちらがより優れていると言うことではなく、東洋医学で得意な分野、現代西洋医学で得意な分野があります。 双方の得意分野を上手に活かして、健康的な生活を送っていただきたいと思っています。
その中で当院では、東洋医学的な考えを基に、崩れたバランス、関係性を正していくことに重きを置いた鍼灸治療をしています。
お困りの症状や痛みに対して局所のみに鍼灸を行うのではなく、全身のバランスを整えることで根本的に症状を改善していく施術なので、例えば肩が上がらないという症状に対して、手先や足などに少数の鍼をするのみのことも。
不調、病の原因をしっかり捉えて少数の鍼で整える。人間が本来持つ、自分で治ろうとする力を最大限に活かす施術を心がけています。